借り上げ社宅における家賃負担の仕組みは? 相場やメリットと合わせて解説

借り上げ社宅における家賃負担の仕組みは? 相場やメリットと合わせて解説

借り上げ社宅制度は、多くの企業が導入している代表的な福利厚生の一つです。ですが、制度の詳細を正しく把握している方は少ないかもしれません。この記事では、借り上げ社宅制度における家賃負担や相場、メリットについて解説します。

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借り上げ社宅の家賃は誰が払う?

借り上げ社宅とは、企業が法人名義で契約した住宅を社員に貸し出す制度です。月々の家賃支払いは、契約者である企業が行います。ただし、賃貸物件の家賃は、予め定められた規定に基づき企業と従業員が相互に負担します。企業と従業員の負担額の配分は厳密に決まっているわけでなく、それぞれの企業によって異なります。

借り上げ社宅制度は、企業と従業員双方にとって多くのメリットが存在します。以下に、それぞれの立場から考えられる、具体的なメリットを解説します。

【企業側から見た】家賃負担と税制面でのメリット

法令に従うことで給与として課税されない

日本では、給与の増加に伴い税額や社会保険料額も増加します。従業員の社会保険料は、約半分を企業が負担しています。一般的な家賃手当は、給与に上乗せされる形で支払われることから、税額や社会保障額も増加します。

ですが、企業が社宅や寮を貸与する場合に限り、従業員から賃貸料相当額の50%以上を家賃として受け取る(予め給与から差し引く)事で、賃貸料相当額と従業員から徴収した家賃の差額を非課税とすることができます。

この方法であれば、従業員の給与額が増加することはありません。企業と従業員双方が損をしない形で給与額を抑えることができ、課税額や社会保障額を軽減することが可能です。

賃貸料相当額とは以下の条件によって算出される数字の合計額を指します。

  • その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%
  • 12円×その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル)
  • その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

【例:賃貸料相当額が1万円の場合】

従業員から6000円(賃貸料相当額の50%以上)の家賃を徴収する場合、差額の4000円は給与として課税されない。

〈参考〉国税庁「使用人に社宅や寮などを貸したとき」

従業員の税負担軽減

上述の通り、一般的な家賃手当は給与に該当し、家賃額が上乗せされた給与に対し税金が発生します。しかし、借り上げ社宅制度を利用する場合には、条件次第で非課税となる範囲が生まれます。

所得税や住民税は、給与に応じて支払い金額が決まる税金です。借り上げ社宅制度を上手く利用する事で、個人に支払い義務が生じる税金の節税も可能です。

【従業員側から見た】家賃負担と金銭面におけるメリット

  • 家賃額の個人負担軽減
    借り上げ社宅における家賃は、上述した税制面でのメリットを活かすため、その一部を企業が負担することが一般的です。従業員が個人的に賃貸物件を契約する場合に比べ、家賃負担額を軽減することができます。
  • 初期費用や更新料が不要
    賃貸物件では、初期費用や更新料など、契約時や居住期間に多くの費用が発生します。これらの費用は、契約者である企業が負担することが一般的です。(企業側の規定により例外もあり)

借り上げ社宅の家賃相場について

賃貸物件では、初期費用や更新料など、契約時や居住期間に多くの費用が発生します。これらの費用は、契約者である企業が負担することが一般的です。(企業側の規定により例外もあり)

  • おおよその目安
    借り上げ社宅の家賃は企業ごとに異なりますが、おおよその目安は存在します。相場は周辺地域における平均家賃の、10%〜20%程度が多いようです。
    東京都内の借り上げ住宅を、20%の家賃負担で利用すると仮定します。東京都の平均家賃は約9.5万円であり、従業員が支払う家賃負担額20%は1.9万円となります。正確な数字は諸々の環境により前後しますが、民間の物件相場に比べ格安であることは間違いないでしょう。

まとめ

借り上げ社宅は、企業と従業員双方にとってメリットの多い福利厚生制度です。とりわけ金銭面におけるメリットは大きく、節税対策に効果を発揮するでしょう。社宅制度の導入や利用を検討する際には、借り上げ社宅がおすすめです。

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